木とコンクリートが生み出す静謐さ
若い頃からずっとあこがれていた家、というのがあります。広いワンルームの中央に、ぼつんと、10人は座れるくらいの、
作業台のようなダイニングテーブルが置いてある部屋。
そしてその部屋の壁一面に、作りつけの本棚が天井まである。想像するだけでうっとりする、本当に理想の家です。
その家は、閑静な住宅街にあります。古いけれど、広めの平屋で、1面だけ開かれた窓から、
陽光と緑がちらつき、薄暗い部屋の中をぼんやり照らしているのです。そんな窓辺に、猫でも寝ていたら本当に幸せですね。
ワンルームの床は、古い教室のような少し暗めの色の板張りで、歩くとたまにギシギシ音が鳴ります。
毎日水で雑巾がけするのが日課になると思います。
壁は少しだけリフォームをしようと思っていて、コンクリート打ちっぱなしにしたいと思っています。
床の木材が持つ、古さと温かみに対して、コンクリートの近代的で無機質な感じをミックスしたら、きっとカッコいい!と思っているのです。
実際に試してみたいのですが、まだチャンスが遠いのが無念です。
窓を正面に見据えた時に、光が差す外に対して、暗くてひんやりとした内が感じられたら、自分の目指す空間造りが成功したな、と思えそうです。
コンクリートの壁には、古い木材を再利用した作りつけの本棚を作っていくつもりです。
そして自分がずっと大事に集めてきた本を何冊も何冊も並べていくのです。
初めは本棚の余ったスペースの方が多いと思うのですが、それを死ぬまで続けていって、
最後には本棚に収まりきらない!!となるくらいにしたいと思っています。
昔から、図書館に住むのが夢でした。ですから、自分の家を、自分の好きな本だけを集めた図書館にしたいのです。
本に囲まれて死ねたら本望ですね。
本が主役の部屋に、敢えて大きなダイニングテーブルを置くのは、部屋の重みを中心に据えたいから。
広ければ広いほど良いと思っていて、好きなテキスタイルを拡げてミシンで裁縫をしたり、
敢えて端っこに座って、好きな紅茶でも飲みながらのんびり本を読んだりしようと思っています。
本と机と、私だけの空間。木とコンクリートが生み出す、無機質だけど温かい空間。それが私の理想の家です。